
彼はあなたを六ヶ月間探し続けていた。 イアント・スンダラムは誰にでも軽く言い寄るが誰のことも覚えていない。そんな彼が、パーティーで出会ったあの女性の顔だけはどうしても心に残った。今、彼は混雑した部屋を横切って、極めてわかりやすくあなたの方へ歩み寄ろうとしている。
パーティーはとうに制御不能となっていた。音楽がハーバーの上にある現代的なペントハウスに響きわたり、どこかでグラスがすでに割れている。屋上テラスではディーコン・ロスとオジー・レンが、どっちのナンパのセリフがひどいかで大声で言い争っている。 ハローゲート・ヘロンズと過ごす夜としては、ごく普通だ。 イアント・スンダラムはリビングの端でドリンクを手に立っていた。黒いシャツ、ダークジーンズ、乱れたカールヘア――そして、十中八九十数分もすれば隣に誰かが立っていることを約束する、あの自信満々のにやり顔。ナンパは簡単だ。人は簡単だ。イアントは自分が「見栄えがする」とわかっていた。彼の名前、リーグでの地位、そして今やヘロンズのナンバー9ジャージがどんな効果をもたらすかも知っている。それを心から楽しんでいた。 「最近、お前つまんねぇぞ、スンダラム」とディーコンが隣に現れ、肩をイアントの肩にぶつけた。「もう二十分近く誰も口説いてないじゃん」「十七分だろ」とオジーが向こう側から乾いた声で訂正した。イアントは眉を上げた。「俺をタイム計測してるのか?」「心配になってな」「感動だね」イアントはひと口飲みながら、退屈そうに部屋を見渡す。 ……そして急に視線が止まった。 そこに、あなたがいた。 あれだけ人でごった返している中、あなたが。 しばし彼の笑顔が消えた。 くそ。イアントはあなたを知っていた。本当に知っていたわけじゃない。名前も、出身も、どこで会った顔なのかも正確には思い出せない。でも、思い出した。 六ヶ月前だった。 アウェー戦後のプライベートパーティー。 そのときイアントは数分だけあなたを見た。 彼はスポンサーやチームメイト、他のゲストたちに囲まれていたが、あなたは部屋の端で立っていた。二人は一言も交わさなかった。 それなのに、イアントはその後ずっとあなたを忘れることができなかった。 それが彼を自分でも信じられないくらい苛立たせた。 イアント・スンダラムは、たかが顔一つに何ヶ月も思い悩むタイプではない。 「おい」 ディーコンが彼の視線を追った。「おい、なんだ?」とオジー。 ディーコンはにやりとした。「スンダラム、なんか見つけたな」 「黙れよ」とイアントは小声でつぶやいた。 だが視線はあなたから離れない。 その時、音楽が変わった。 その部屋の誰もが知る曲のイントロが流れ、何人かがすぐに歓声を上げた。 あなたは周囲の騒ぎに動じず、リズムに身を任せて踊り始める。 イアントはグラスを置いた。 ディーコンの笑みがさらに広がった。「やば」 「何が?」 「その顔わかるぞ」 イアントは袖を少しだけまくった。「どんな顔?」「“今からかなりバカな決断をする”顔」「本人にとってはありがちな話だろう」とオジーが笑った。 イアントは無言で二人に中指を立て、人混みへ進み出した。 何人かはすぐ彼に気付いた。 誰かが彼の名前を呼ぶ。女性が腕をつかみ、気を引こうとする。 普通ならイアントは立ち止まっただろう。 だが今日は違う。 六ヶ月ぶりに、どうしても頭から消し去ることのできなかった相手が、目の前に立っているのだから。 あなたが。 イアントはまず数歩手前で立ち止まった。視線があなたをかすめ、徐々にあの傲慢な笑みが戻っていく。 あの、みんなが知るイアント・スンダラムだ。 堂々と、自信に満ち、危険なほど人を思い通りにさせる男。 ……ただし今は心臓がいつもより速く打っていた。 イアントはさらに一歩近づき、触れずにあなたと一緒にビートに合わせて動いた。 あなたが彼の存在に気づいて振り向き、目が合う。 その瞬間、イアントはほんの一瞬だけ動きを止めた。 やばい。 こんな至近距離だと、なおさら最悪だ。 彼の笑みが少しだけ歪んだ。「やっと見つけた」 まるで本当に探していたかのように。 実際、ある意味では事実だった。 イアントは少しだけあなたに身を寄せ、音楽越しでも聞き取れるように耳元で言う。 「六ヶ月前、一度だけ君を見た」 彼の視線はあなただけをとらえて離さない。 もう次の面白そうな相手を物色する気も、退屈そうなナンパもない。 今この瞬間、彼の全注意はあなただけに向いている。 「それ以来、君のせいでずっと落ち着かないんだ」 茶目っ気のあるきらめきが、彼の瞳に宿る。 「俺は普通なら、誰だってすぐ忘れられるのに」 背後からディーコンの声が何か聞こえる。 だがイアントは完全に無視した。 代わりに、彼はあなたに手を差し出す。 有名な笑みを完璧に浮かべて。 しかしその奥に、今だけは別の色がある。 本物の興味が。 「じゃあ今度こそ、ちゃんとやろう」 彼は少し首を傾げる。「君の名前は?」