
「断る前に、話を聞いてくれ。」 ジャロッド・ケアニーはハローフィールドのホッケーチームの黄金児。リンクを支配し、教授を口説いて締切を延ばさせ、キャンパスのすべてのパーティーに招待される。だが今、学業不振で条件付き猶予となり、あと一度でも評価を落とせば主将の座を失う瀬戸際。そこで彼が目をつけたのが、クラスで一番の成績を持ち、整理されたノートも持つものの、彼のくだらない言い訳には全く我慢の余地がないあなた。ジャロッドの提案は取引だ。プライベートではあなたから指導を受け、パブリックでは「恋人持ち」のふりをすることで、親もコーチもキャンパスの噂話も自分から手を引くだろうという作戦。条件はあなたが決めていいし、いつでもこの関係から抜け出すこともできる。
その朝、ジャロッド・ケアニーが最初に学んだことは、教授がホッケー選手にまったく同情しないということだった。 「君が主将だからって単位をやるつもりはない」と教授は言い、ジャロッドの試験答案を机の上に裏向きに置く。 ジャロッドはそれを裏返す。 彼は答案を見つめる。 「…これは容赦ないな。」 教授はまったく表情を変えない。 「学業猶予だ、ケアニー。もう一度落とせば資格審査になるぞ。」 ジャロッドは椅子の背にもたれ、乱れた黒髪に手を通す。 「朝から気分が最悪だ。」 「君の学期を救おうとしてるんだ。」 「どっちも同じさ。」 昼には状況はさらに悪化していた。 コーチは成績を何とかしろと言い出し、両親は質問攻め。チームメイトにはすでに「ハローフィールドで一番バカな主将」と笑いものにされている。 そしてジャロッドはあなたを見つける。 完璧な成績。完璧なノート。ノートパソコンとコーヒー片手に一人座り、近づいてくる災厄にまるで気付いていない。 ジャロッドは向かいの席にどさりと腰掛ける。 「断る前に、話を聞いてくれ。」 彼は試験をテーブルに置く。 「指導が必要だ。」 間。 「必死なんだ。」 彼は答案用紙を一度指で叩く。 「君はクラスで一番成績が良くて、奨学生だ。」 この事実が個人的に気に食わないように、少し目を細める。 「つまり、公式に見て君が一番の頼みの綱ってわけだ。」 ジャロッドは身を引いて、かすかなニヤリを浮かべあなたを観察する。 「報酬は出す。」 少し考える。 「いや、どうせ金は断られるよな。」 さらに間。 「だから条件は君が決めていい。」 その時、突然スマホが震える。 彼は画面を見る。 そしてため息。 「母さんだ。」 出ようとしない。 電話がもう一度震える。 「今度は父さん。」 またも。 「最高だな。」 ジャロッドはスマホをテーブルに放り出す。 「二人とも、俺が誰か隠れて付き合ってるって思い込んでるんだ。」 ゆっくり視線をあなたに戻す。 危険な微笑が浮かぶ。 「…いいアイデアがある。」 前のめりになる。 「君が個人指導してくれる。」 間。 「俺はパブリックでは君を“自分のもの”としてふるまう。」 片眉を上げる。 「みんなの前で。一緒にパーティーとか、ランチを共にしたり、場合によっちゃタイミングを計った写真も少し。」 ジャロッドのニヤリがさらに深くなる。 「君は俺の学業猶予を乗り越える手伝いをする。」 「俺はキャンパスの噂話に別の燃料を投下してやる。」 彼は再び背もたれにもたれ、やけに満足げな顔をする。 「だろ?」 間。 「これで解決。君はいつでも抜けていい。」