
あなたはキールウォークを生き延びた。続く苛烈な数週間も。そして、どういうわけかスカープも生き延びた。 アシェンホールド戦学院では、ひとつの試練を生き残った者だけが次の試練に進む資格を得る。やがてやってくる「ハロウィング」と「ウィノウィング」。残った候補生たちをドラゴンが見張る中、エンバーウィングではすでに、争い、友情、秘密、そして誰かが命を落としかねない忠誠心が絡み合っている。リスベット・ファレンは誰も予想しなかったほどに壊れにくいことを証明している。アリック・ラウスと刻印を受けた騎乗者たちは、表には出さない多くの秘密を抱えている。 ヴェルモラの帳の向こうには、この戦争をめぐる真実が、今まで教え込まれてきたことすべてを覆そうと待ちかまえている―― そして、あなたの廊下にはウィングリーダーが立ち、なぜあなたが“第四”を選んだのか問いかけてきている。
スカープを生き延びた候補生たちは、本来なら祝っているはずだった。 だが、半分は瀕死の重傷を負ったかのような顔をしていた。 カヴェリが思うに、それは全く的外れでもなかった。 「どいて。」 ダヴァンは動かなかった。 カヴェリは彼のブーツのかかとを蹴った。 ダヴァンは候補生の寮外のベンチに寝そべりながら片目を開けた。「ケガしてるんだ。」 「大げさね。」 「両立もできる。」 「ただのあざでしょう。」 「内出血かもしれない。」 オルドレンが手のひらを包帯で巻きながら顔を上げた。「あざってそういうものじゃないよ。」 「ありがとう、ウィンター。その優しさに感謝してる。」 リスベットは石の床に背をもたれながら、小さく笑った。 今だけは、誰も急いでいなかった。 整列も、 課題も、 もっと速く動けと怒鳴る教官もいない。 ただ、みんなが生き抜いたという奇妙で消耗しきった実感だけがあった。 明日にはまた別の何かが襲ってくる。 いつだってそうだった。 けれど今夜―― 彼らはスカープを生き延びたのだ。 廊下の端でブーツの音が響いた。 カヴェリが最初に顔を上げた。 あなたが角から現れる。 ダヴァンが頭を上げた。 「ほら、生き残ったんだな。」 「君にとっては、不運なことにね。」オルドレンが付け加えた。 ダヴァンは彼を指差した。「まさにその通り。」 リスベットの視線が無意識にあなたをなぞった。 みんな、あなたの走りを見ていた。 スカープの日にプライバシーなんてほとんどなかった。誰かの手が滑れば皆が見ていた。誰かが固まれば誰もが知っていた。誰かが到底あり得ない馬鹿な行動で生き延びれば―― みんなが確実に知ることになった。 どうやら、あなたのしたことはダヴァンの格好の話題になったらしい。 彼は身を起こした。 「質問があるんだ。」 「いつもじゃない。」カヴェリが言った。 「いや、今回は重要なんだ。」 彼の視線があなたに戻る。 「いったいオスアーの名のもとに、どうしてあんなことをしたんだ?」 あなたが答える前に、後ろから別の声が聞こえた。 「私も聞きたいね。」 廊下の雰囲気が変わった。 劇的ではない。 誰も直立不動にはならない。 だが背筋が伸びた。 会話が静かになった。 アリック・ラウスが、あなたの背後の石造りのアーチにもたれ、腕を胸の前で組んで立っていた。 その隣にはコルヴァンがいて、この状況をかなり楽しんでいるようだった。 リスベットの表情は即座に警戒したものになった。 ダヴァンは嬉しそうだった。 カヴェリはため息をついた。 「そそのかさないで。」 「そそのかしてない。」アリックが言った。 コルヴァンは彼らに目をやった。 「君、彼らを追って来ただろう。」 「元々こっちに来る予定だった。」 「そうだろうな。」 アリックは取り合わなかった。 その眼差しがあなたに向けられる。 もちろん、彼らもあなたのスカープでの走りを見ていた。 それをちゃんと覚えていたらしい。 「もっといい選択肢が三つあった。」 声に非難めいた響きはなかった。 かえってそれが威圧的だった。 アリックはアーチから離れた。 「ひとつは速かった。ふたつはより安全だった。」 数歩先で止まった。 「だから気になっている。」 首を少し傾ける。 「なぜ“第四”を選んだ?」 廊下が静まり返った。 ダヴァンはあなたとアリックを交互に眺め、まるで無料の見世物でも手に入れたかのようだった。 リスベットも見ている。 カヴェリも。 オルドレンも。 コルヴァンも。 何週間もあなたの周囲にいたが、まだあなたがどんな人物なのか定まらぬ者たち。 外では、アシェンホールドの壁の向こうでドラゴンが咆哮した。 それに応えるように別の咆哮。 明日にはハロウィングの準備が始まる。 そのすぐ後にはウィノウィングが待っている。 この廊下に立つ者の何人かは、もう生きていないかもしれない。 まだ誰にもドラゴンはいない。 紋章もない。 保証もない。 今はただ、キールウォークを渡り、スカープを制したもう一人の候補生。 そして―― ウィングリーダーを説明に呼び寄せるほど、ついに“面白いこと”をやってのけたのだ。 アリックは待っている。 「待っているぞ。」