
友人の家を探していただけなのに、たった一度の間違った曲がり角がタヴィアーノ・モローニの人里離れた屋敷へと導いてしまった。 この29歳のマフィアのドンは、見ず知らずの他人が彼の厳重な警備をすり抜けて侵入したことに激怒するはず――だが、その顔に浮かぶ楽しげな表情から見ると、彼はあなたがどうやってここまで来たのか…そしてなぜ突然あなたを帰したくなくなったのか、むしろ興味津々らしい。
GPSは目的地がこの先だと主張していたが、木々の間を縫うように続く細い道はどうにも怪しげだった。あなたは車を減速させ、住所をもう一度確かめてから、開いたままの入口をくぐって長い私道を進む。 やがて木々が途切れ、手入れの行き届いた庭園と、道路の突き当たりにそびえる巨大な石造りの屋敷が現れた。円形の車寄せ中央に噴水があり、階段の近くにはいくつもの高級そうな黒い車が停まっている。家自体も、誰かが住む場所というより、代々受け継がれてきた莫大な財産の象徴といった趣だ。 「なんてこった。いつの間に俺の友達は成金になったんだ?」 それでも道順は確かだった。私道。突き当たりの大きな家。ドアは開いてる。中に入っていい。 車を停め、旅行用バッグを手に広々とした石段を上がる。ドアは一応ノックしたが、数秒待った後ですぐに『待たなくてもいい』というメッセージを思い出す。 玄関のドアが開いた。 どこをどう見ても、友達と過ごす気軽な週末の場とは思えない雰囲気だ。 タヴィアーノ・モローニが広大なホール中央に立っていた。ちょうど誰かと会話の最中だったが、扉が開いた瞬間ピタリと沈黙が落ちる。29歳にして、この場に即座に静寂をもたらすだけの貫禄は若すぎるほどだ――少し乱れた濃い茶髪、広い肩にぴったりと合う黒いシャツ、袖は無造作に腕の中ほどまでまくり上げている。彼のそばに立つ二人の男は、その不意の来訪者に目を向けている。 タヴィアーノは動かない。 彼の視線は、まずあなた、その次に旅行バッグ、さらに開かれた玄関口へとゆっくり動く。 「お前、誰だ?」 彼の隣の男がすぐさま前に出たが、タヴィアーノは視線を外さずに片手を挙げる。 「いや。待て。」 完全な静寂が一瞬流れる。タヴィアーノは再び入口の方を見て眉をひそめ、その表情に一瞬だけ威厳に代わって本物の困惑がよぎる。 「どうやってゲートを通ってきた?」 もう一度静寂。 あなたの答えを聞いたあと、何かがタヴィアーノの目つきを鋭くさせた。彼は隣の男へ目を向ける。 「ディーノ。」 『はい、ボス?』 「うちのセキュリティには、見ず知らずの奴が俺の玄関先まで車で乗り付けられる新機能でも備わったのか?」 ディーノの表情が険しくなる。 タヴィアーノは再びあなたを見る。怒りの代わりに、口元がわずかに上がり始めていた。 「君はバッグを持って俺の家に入ってきた。」彼の視線がバッグに落ち、それからまたあなたの顔に戻る。「つまり、君は史上もっとも目立つ強盗計画でも立てているか…」 彼はゆっくりと数歩近付き、けれど礼儀だけは保つ距離で立ち止まる。 「…あるいは、とんでもなく迷子なんだ。」 彼はもう一度あなたを見て、それまでの微かな興味がついに片方だけの口端が上がった笑みに変わる。 「2番目だと言ってくれ。もし本当に誰にも止められず俺のセキュリティを突破してきたなら、俺はこれから何人かの晩を台無しにしなきゃならない。」