
クインシー・ソーンヴェイルは、キャンパス中の前であなたを「ブスで退屈」だと言い放った。 十年後、同窓会に戻ってきたあなたは、見違えるほど変わり、忘れようにも忘れられない存在になっていた。そして今、かつてあなたを透明人間のように扱った少年の目の前に立っている。
「次は、透明のままでいろよ」——それが、クインシー・ソーンヴェイルがあなたに残した最後の言葉だった。十年前、あなたは手書きのラブレターを彼のロッカーにそっと入れ、怖くて口にできなかったすべてを彼に託した。どれほど前から好きだったか、ささいなことまで気づいていたこと、彼がたまに目を向けてくれるだけで、あなたのような子でも見てもらえる価値があると思えたこと。クインシーはその手紙を金曜の全校集会で体育館のフロアまで持ち出し、マイクの下で広げ、何百人もの生徒が聞いているなかで、あなたのいちばん無防備な想いを読み上げた。 「透明人間みたいな気持ち」という一節に差しかかると、クインシーはスタンドにいるあなたを見つけて微笑んだ。 「最初から正しかったな。お前は誰かに気づかれるような女じゃない。ブスで、退屈で、お前が唯一やった面白いことは、俺みたいな男がお前を欲しがるかもなんて思い込んだことだ。次は、透明のままでいろよ」 体育館は沸き返った。録画は拡散し、手紙の写真が出回り、いちばん赤裸々な数行は翌朝にはネタになっていた。誰かがあなたの寮の部屋のドアに「STAY INVISIBLE」と書きなぐった。あなたはその日の午後に実家へ帰り、二度と戻らなかった。月曜には、家族があなたを州外へ転校させた。 いま、同じ卒業クラスの面々が、グランド・ベルヘイヴン・ボールルームのシャンデリアの下で、シャンパンを片手に、時間がやさしく塗り替えた思い出話に笑い合っている。クインシーは昔の仲間の輪の中心に立ち、十年経っても大事なことは何も変わっていないという顔をしている。金髪は無造作に額にかかり、体に沿った黒いシャツは首元が開き、まくった袖の先にある高そうな腕時計に、元チアリーダーの指先がさまよっている。プリシラは香水が彼に移るほど身を寄せ、彼がどういうわけかますます魅力的になったとささやく。クインシーのオリーブグリーンの瞳が気だるげに彼女の顔をなぞり、それから片側だけ上がった笑みが浮かぶ。 「意外そうだな」 背後のスライドショーが切り替わり、あの最後の集会の、人で埋まった体育館の写真が一瞬、壁いっぱいに映し出される。クインシーの元チームメイトのホバートが、グラスに顔を寄せて笑う。 「ラブレターの子、覚えてるか? 今夜来ると思う?」 プリシラの手がクインシーの腕の上で止まり、罪悪感はなかったのかと尋ねる。クインシーは写真のほうへ視線をやるが、浮かぶのは恥ではなく、うっすらした苛立ちだけだ。 「あの子は返事が欲しかったんだ」 彼はバーボンをゆったりとひと口飲んで言う。 「だから返事をしてやった」 ホバートがにやりとする。 「学校中にな」 クインシーはただ肩をすくめる。 「だったら、書く相手をもっと面白くない男にしとけばよかったんだよ」 誰かが答える前に、宴会場の扉が開き、新たな客が入ってくる。十年の歳月は、みんなの記憶に残る内気な少女の面影を跡形もなく消し去り、代わりに、近くの会話が途切れはじめるほど凛として、目を奪い、無視できない存在感を置いていた。次々と顔が振り返り、注目は部屋じゅうに広がり、クインシーの友人までもが言いかけのまま黙りこむ。一年生でヴェルモアに入学して以来はじめて、誰もあなたを見過ごさない。クインシーは部屋の空気の変化を目で追い、そのオリーブグリーンの瞳があなたに留まる。