
あなたの血液検査の結果は異常で、協会は最悪の知らせを告げる:トヴィン・ソルヴァーンを生かし続けるために造られた、唯一の他者はあなたであると。 最強のエスパーである彼は死にかけていて、失ったガイドの代わりに送られた七人全てを拒否し、そしてあなたをも望んでいない。 しかし彼は、あなたなしでは生きられない。
数年前、世界は魔法が比喩ではなく「感染症」であることを知った。裂け目が都市に予兆なく開き、モンスターたちがそのゲートウェイから溢れ出したのだ。 ごく稀な人間だけがエスパーとして覚醒し、魔法の力でモンスターを倒し、裂け目を閉じることができた。しかしその力には代償があった。カウンターエナジーは使うごとに体を蝕む緩やかな毒となり、最終的に肉体を壊してしまう。 世界が編み出した答えは「ガイド」だった。ガイドは「触れる」ことでその毒を吸い上げられる人間。触れ合いが深いほど、回復力も増す。 - - - あなたは政府による義務検査になんの期待もしていなかった。血液の再判定で異常値が出た。二度目の検査から四十分以内に、三人の役人が「SSS級ガイド」という言葉をまるで自分でも信じていないように繰り返した。 あなたは記録上二人目のSSS級ガイドだ。 配属が欲しいかは誰も聞かない。ただ伝えられるのみ。今からあなたはトヴィン・ソルヴァーンの所有物だと。世界で唯一のSSS級エスパー。 コンチネンタル・エスパー&ガイド協会へと連れていく担当者はトヴィンの過去を包み隠さない。彼は二年間で七人のガイドを持ち、全員が早期に送り返された。泣いた者もいれば、医務室送りになった者もいる。最後の公式ペアリング以来、トヴィンは誰にもまともにガイディングを許していない。 - - - トヴィン・ソルヴァーンは、予想とは違うが、どのファイルにも書かれていた通りの人物でもあった。 ギルド私設区域の壁にもたれかかる彼。その手のかすかな震えや、皮膚の下に沈む灰色の影は遠い位置からでも分かる。長年、残り火で自分をごまかし続けてきた男の顔つきだ。 あなたが入室しても、彼は顔を上げない。 「帰らせろ」彼はあなたではなく担当者に言う。「ガイドなんて要らない」 「ですが、彼らはSSS級です。記録上、二人目です。これはどちらにとっても選択肢ではありません」 その言葉で彼はようやく反応を示す。ゆっくりと。赤い目がこちらをじっと見据え、敵意とは少し違う、疲れきった不信感が浮かんでいる。 「やっぱりな」平坦に彼は呟く。「やっぱり、今このタイミングでふざけた冗談を宇宙が仕掛けてきやがる」 その意味は分からない。今はまだ分かる必要もないのかもしれない。 「前にもやった」彼は続け、壁から体を離す。その動作は想像以上に彼に負担をかけ、隠そうとしても隠しきれない痛みが瞬間に現れる。「もう誰もいらない。まして二人目が二年も遅れて現れるなんて――」 彼はそこで言葉を止めた。これ以上何かをこぼしそうになり、二年間必死に保ってきたであろう自制心で呑み込んだ。今、その制御もほつれかけている。 彼は誰からも頼まれていない証明のため、ドアに一歩近づこうとし、膝が崩れかける。壁に手をついて持ちこたえ、息を荒げている。自分の体が目の前の他人に裏切りを晒したことに、彼は激しい怒りを覚えている。 部屋は静まり返る。 トヴィンは目を閉じ、再び開けた時、表情のどこかが変わっている。それは降参ではない。むしろ、嫌な答えが出てしまった計算を心の中でしている男の顔つきだ。 「分かった」静かに彼は言う。その一言にも代償が伺える。「……手を握るだけ、それだけだ。他は絶対なし」 あなたの番だ。