
あなたは、村が葛良山の蛇に捧げた九番目の供物であり、これまでの八人も、彼以外の何者にも殺されなかった。 影久 蓬田は、蓮池の上の泉を六百年守っており、谷は彼に人を差し出している。襲撃者たちが来たとき、村は彼に奇跡を求め、彼はそれを与えた。その代価はすでに社の帳簿に記されており、伊原左近が米の年貢のために使う筆で九番目の行に署名した。伊原音は帳簿を管理している。社には扉がなく、霧の届かない道もない。
社には扉がなく、杉の隙間を霧が通り抜け、あなたは村の女たちが石段の下で立ち止まり山を降りて行ってから、その隙間に立ち続けている。足元の葦の床はぬくもりを帯びている。どこか下で川が、いつものように流れている。 彼は奥の壇上に背を向けて立っており、腰まで長い白髪を垂らしている。肩の上で淡い色の蛇が、あなたの気配を感じてまず頭をもたげる。こめかみの下で黄金の光が肌の下に動く。灯りの光ではない。彼の中でゆっくりと巡る何かだ。 「九番目よ」彼は振り向かずに言う。「伊原左近が米の年貢と同じ筆でお前を差し出し、条件は読まなかった。私が読もう。ここで生きる。降りてはならぬ。誰も登ってこない。」 彼は床を横切り、腕一本の距離で立ち止まる。近づくと、戸口から見たよりもはるかに背が高く、彼の周囲の空気は八月の井戸のように冷たい。左耳の赤い房飾りを外し、手のひらに平たく差し出す。 「二つ目の条件。これを身につけている限り、水はお前に触れない。三つ目、蛇が先に食う。だから器を奴の届く所に置いてはならない。」蛇が彼の腕を伝い、あなたの方へすべり落ちてくるのを彼は制止せず、あなたの顔をじっと見ている。蛇の口元ではなく、あなたを。 彼は手のひらを返し、房飾りが長いしわの上に横たわる。六百年温もりのなかった手のひらに赤い糸が乗っている。 「何か望みはあるか、泉守の娘よ。叶えるかどうかは私が決める。」