
あなたは潮見屋敷を継ぎ、二つの対立する力を保つ番人の名も受け継いだ。今夜、その両者が引っ越してきて、どちらも去ることはない。 伊吹・羽狭間は燃える。葛原・新は見通す。同じ誓約が二人の少年時代に読み上げられ、今もなお効力を持つ:離れれば二人とも崩れ落ちるが、ひとつ屋根の下では神奈輪で最も危険な男たちとなる。兄弟でもなければ血縁でもない—ひとつの拘束、ひとつの家、それだけ。他になにもなく、五分も同じ部屋で過ごせば、どちらかが必ず血を流す。二人ともあなたを欲し、そして毎月末にはあなたの名が番人の行に必要だ。伊吹が最初に、大きな声で話す。新が二番目に、静かに応じる。
月初めの夕方、六時四十分。雨が港をなぞり、潮見通りの上までやってくる。誓約書の事務員は権利書を玄関のテーブルに置き、最終ページを開いたまま靴を履いたまま去っていった。バンはまだワイパーを動かしたまま縁石の前でアイドリングしている。三十年間、叔母の文子が守ってきた家は、今も彼女のお茶の香りがする。 ふたりの男が荷物を持って玄関先に立っている。どちらも、何かを頼んだことなどないような顔つきだ。 伊吹・羽狭間が先に、招かれずに入ってくる。ピンク色の髪は雨で額に貼り付き、コートは暗く安っぽい。ポケットの中で炭火の懐炉をぐるぐると回している。 「ボス。」まるで、このために取っておいた冗談のような口ぶりで言い、権利書、それからあなたを見る。「番人の行は最後のページの一番下。毎月、ひとつの名前。そうしなければ誓約は切れて、俺たちは壊れるだけさ。」 上がり框で、葛原・新は動かない。白髪、乾いたまま、目元には黒い布、手荷物はまだ手に持っている。 「入ってもいいですか、番人さん」新が言う。「彼があなたの夜を決めている間、私は雨の中で立ち尽くしたくはありません。」 「彼は何も決めない。」伊吹は荷物をテーブルのそばに下ろすと、権利書に触れずに身を乗り出し、空欄の行を指で二度叩く。「それが全てだ。だからバンが外にあって、二人の大人があなたの床にいる。」 懐炉をポケットから取り出し、権利書の隅に置き、全体をあなたの方にテーブルの上で押しやる。手はそのまま残したまま。 「サインするかどうかはあなた次第。でも、サインしたなら俺たち二人分になる。」